相手を知って己を知る<育心タイムズ121号>

小惑星探査機「はやぶさ2」は2014年12月3日に約3億km離れたリュウグウに向けて打ち上げらました。リュウグウに接地(タッチダウン)し、岩石のサンプルを採取して地球に帰還する計画です。

そして2019年2月22日「はやぶさ2」は、リュウグウの中心から約20km上空のホームポジションの位置から、タッチダウンの運用を開始し、見事に成功を収めました。

計画段階では100m四方の平らな場所にむけてタッチダウンを実施する予定だったのです。しかし、リュウグウに到着して観察してみると、表面は岩石が多く、凸凹しており、結局6m四方の場所にピンポイントでタッチダウンしなければならないことが分かりました。100m→6mですから、それだけ考えても、どれだけ難しい運用が必要になったか分かります。しかも、地球から「はやぶさ2」に指令を出しても、その電波が届くのに20分ほどかかります。指令を「はやぶさ2」が受けとって、正常に動いたとしても、その確認を知らせる電波は地球に20分しなければ、届きません。つまり、地球側で、「こうしよう!」と思っても、その結果は40分後でないと分からない、そんな遠い遠い場所でのタッチダウンなのです。なんと難しい運用だったことでしょうか。

成功を発表する記者会見の中で、私はJAXA(宇宙航空研究開発機構)の久保田孝・研究総主幹と吉川真・ミッションマネージャーの、想いのこもった言葉を聞きました。

「はやつーくん、よくやってくれた! ありがとう!!」

はやぶさ2のことを「はやつーくん」と呼んでいたようですが、子どものように可愛がっていたのが分かります。

そして、「完璧な成功を収めた要因は何でしょうか?」という質問に対して

「リュウグウに行って、安全なところがあんまりないということが分かって、そこから挑戦が始まった。リハーサルを繰り返して、運用者が熟練した。その間に、いろいろな写真を撮って、タッチダウン地点の詳細な地形をとることができた。練習の中で、探査機の挙動が十分に把握できた。
小惑星リュウグウという相手をよく知って、
探査機の能力精度を十分分かるということは、己を知ったということ。それで作戦を立てて、探査機の運用者も熟練したことがすべてそろって6メートルに行けた。
それが成功の秘訣かなと思います。

いかに事前に準備をしておくかということだと思う。」

「相手を知って己を知れば百戦して危うからず」(敵と味方の実情を熟知していれば、百回戦っても負けることはない。)は中国の故事として有名な「孫子の兵法」です。その言葉を引用して、リュウグウという相手を知って、「はやぶさ2」という自分を知り、その上で作戦を立て、熟練してから臨んだから成功した、そう言っているのです。私は、それを聞いて、ああ~ためになるなあ~みんなに伝えたいなあ~と思いました。

みんなの勉強も同じです。

「相手を知る」とは、英語や数学の教科特性を知るということ。自分で研究するのもいいのですが、育心にはその教科特性を知りつくした大谷という人間がいるのですから、どんどん聞いてもらったらいいです。簡単に言えば、大谷の指示通りに「素直に」勉強していけば、相手を知ることに通じると思ってもらえればいい。

「己を知る」とは、自分で問題を解くときに、どこで間違うのか、何に時間がかかっているのかなどを、いつも意識していくことです。例えば、定期テスト対策で、学校の問題集を提出するために、とにかく一度解けばいいんだと思ってやっている人と、自分が間違った問題を確認するために、二度三度とやっている人では、「己を知る」度合いはまったくちがうのです。

そして大きなチャレンジ(例えば高校入試)に向かうときには、「相手を知って己を知った」上で、作戦を練り、熟練していくことが必要だと、教えてくれています。

そして、直前に大きなプログラムの書き換えも行ったことに対して、こんなことも言っておられました。

「慎重にそして大胆にチャレンジする。慎重と臆病とはちがう。何が起こっても対応できる準備をしていた。」

慎重と臆病とはちがう。その通りだと思います。みんなも、いろいろなことに大いに挑戦してほしいと思います。その時には、どんなことが起こっても対応できるよう、「相手を知って己を知り」十分に熟練してチャレンジしてください。

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