「わかる」と「できる」

106号(2016年2月23日発行)

先生

今日は、私の授業に対する考え方の変化をお話しします。

私は「物事をいかに分かりやすく教えるか」ということをずっと追いかけてきました。大学時代に浜学園という塾でアルバイトを始めた時から、ずっとです。その塾では講師は3軍に別れていました。プロ野球と同じです。1軍の講師は授業を担当します。2軍の講師は準講師と呼ばれ、テスト監督を担当します。毎回の授業の後に行われる復習テストの監督をして、最後に少しだけテスト問題の解説授業をします。この解説授業をしながら、授業力を高めて、1軍の講師をめざします。3軍は準講師をめざして研修中の予備軍です。

授業がうまくならないと、決して授業は担当できないしくみがそこにはありました。ですから、徹底的に上手な授業ができるよう自分を磨きました。教科の内容を理解する力はもちろんですが、生徒を納得させるだけの話術や、何が重要かを際立たせるための板書能力など、「分かりやすい授業」を身につけるためのあらゆる努力をしてきました。平成7年に浜学園を退職して、育心を立ち上げてからも、その気持ちは変わりません。ずっとずっと、「分かりやすい授業」を追求してきたのです。

ところが最近「分かりやすい授業」だけではダメだという衝撃的な事実に気がついたのです。

昨年の6月から数学の授業を育心LIVEに変えてきました。もちろん育心ライブに収録しているものは私自身の徹底した「分かりやすい授業」です。こだわりを持って授業し、撮影しています。ホーム―ページやFacebookで公開している動画を見て、塾仲間の先生が「大谷先生の授業は分かりやすくて学ぶことが多いです」とよく言ってくれます。私は、これを生徒が自分のペースに合わせて見てくれれば、絶対実力がつくと思っていました。確かに子ども達の数学の実力が確実に上がってきているのを私は実感しています。ところがです。その実力が上がっているのは、どうやら私の「分かりやすい授業」だけが原因ではないようなのです。

育心LIVEでは、5分から最長でも10分程度の私の解説授業を見た後、自分で演習問題を解くシステムになっています。この演習問題がすんなり解けない時があります。子ども達が「あれっ」と思う瞬間です。私の授業動画を見たときは「なるほど」と思っているのですが、いざ自分でやってみるとできないのです。この「わかる」と「できる」の違いを子ども達がしっかり理解して、「できる」状態を作り上げないと残念ながら実力はつかないのです。

演習問題をやっている姿は子どもによってさまざまです。手が出なくなってうんうんうなっている子もいます。答えを見て適当に直している子もいます。この子達はまだまだ勉強の仕方が分かっていないので、その都度注意していきます。

自分で解けないなあ~と思った時、動画で見た例題のノートを見直している子もいれば、動画を再度見にいく子もいます。答えを見て間違っていたら、なぜ間違ったのか徹底的に分析している子もいますし、どうしても分からない時に、「先生この解説のここが分かりません」と言ってくる子もいます。この子達は確実に伸びていきます。

実は子ども達は、私の授業を聞いて力をつけているのではなく、この演習問題を解く瞬間に力をつけているのです。この演習時間での勉強の仕方やその問題点は子ども達一人ひとり異なります。またその問題点を家で自分で解決できる子はほとんどいません。そこをサポートするのが私の大きな役割になっています。今までの集合授業と家庭学習の組み合わせだけでは、乗り越えられなかった部分が、今の育心LIVEを使った授業、特に演習問題を解いている時に解決できるようになったのです。

「分かりやすい授業」が悪いわけではもちろんないのですが、「分かりやすい授業」だけではダメなのです。演習を組み合わせて子ども達自身が「できる」ようにならなければ意味がなかったのです。

新しい育心が出発しました。

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