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必要最低限を超える<育心タイムズ116号>

必要最低限を超える<育心タイムズ116号>

116号(2018年2月22日発行)

(喜多川泰「ソバニイルヨ」から)

勇人(はやと):中学1年生サッカー部。
ユージ:勇人の父親がつくった人工知能付きのロボット。

ある日家に帰った勇人は、サッカーボールや排水管で使う塩化ビニル製の太いパイプ、子どもの頃遊んだ室内用ジャングルジムのフレームなど、ガラクタを集めてつくったロボットが自分の部屋に置いてあるのにびっくりします。すぐに、夏の間3か月アメリカに出張すると言っていた父親の仕業だと気づきます。

正面についているipadを引きはがそうと画面に手を触れたとき、
「AI  UG  を起動しますか? Yes No」と表示され、
Yesに触れた瞬間から、勇人とユージの関係が始まります。ユージは最初は言葉もたどたどしかったのですが、テレビを見て発音の仕方、話し方を学んでいきます。最初はユージのことを邪魔者扱いしていた勇人も、だんだんユージと毎日の出来事を話すようになります。

ユージは「勉強にしても、何にしても必要最低限を超えないと損だ」と言ったが、勇人にはどう考えてもそっちの方が損をしているようにしか思えなかった。「何でだよ」と何度が問いただしてみたが、ユージは「やってみるとわかる」しか言わなくなった。そこで、まず部活でそれをやってみることになった。勉強よりはずっとやる気が出る。

夏休みの部活は8時からなので、それに間に合うように行くつもりの勇人に、ユージは「必要最低限を超えるチャンス。7時に行くといい」と言い、朝6時に勇人をたたき起こした。

・真夏の朝、自転車をこぎ始めると気分がよかった。
・部室の鍵を出してくれた教頭先生に「ありがとうございます」と言うと「朝一番に、元気なあいさつがもらえると、いい一日になりそうですね。ありがとう」と言ってくれた。
・たった一人でグランドに出る。一人でできる練習は限られているがリフティングをして、ドリブル練習をして、シュートしたら自分で取りに行く。すでに汗が噴き出していた。これだけ広いグランドを独り占めにして、それだけで特別な爽快感があった。
・キャプテンの藤倉先輩が来て、「おう。お前、早いな。ちょうどよかった。相手してくれ」とボールを奪い合う練習をあこがれの先輩とできた。
・練習の最後に行うミニゲームではレギュラーチームに入れと藤倉先輩から言われて、アシストを決めた。

勇人は、ユージの言った「必要最低限を超えないと損だ」という言葉を、身をもって実感したのだが、「本当だった」と認めるのはしゃくだった。今日はたまたま・・・との思いが脳裏をよぎり、素直になれなかった。それでも、必要最低限を超えたところに「楽しさ」があるというのは、確かにそうだろうと直感的に感じることができた。

「ユージが勇人に50万あげるって言ったら、勇人どうする。」「そりゃ、もらうけど」「条件が二つある。一つは一年で使い切ること。貯められない。もう一つは、何に使ったかユージに全部報告すること」「それだけでいいの?何に使ってもいいの?」「何に使ってもいい。モンク言わない」「だったらもらう」「話はここから。勇人の報告を聞いて、ユージはその使い道を三つに分けて勇人に教えてあげる」「三つ?」「その使い道を、消費・浪費・投資の三つに分類してあげる」

・消費は、生活する上でどうしても必要なもののために使うこと。
・浪費は、なくてもいいものなのに使っちゃう、いわゆる無駄遣い。
・投資は、今のためじゃなく未来の自分のためになるように使うこと。

「今の自分のことだけ考えると、消費と浪費に全部使えばいいけど、そうすると将来の自分が受け取るものは何もなくなる。そのバランスを考えられるように、ユージがアドバイスをして、次の50万をどう使うか勇人が自分で考える」「次ももらえるの?ほんとにただでもらえるんなら、真剣に考えるけどな」「ほんとにもらえる」「え?」

「ユージからじゃないけど、もらえる。これまでもずっともらってきた」「どういうこと?誰がくれるの?今まで誰もそんなのくれたことないけど……」「50万は、単位が『円』じゃない」「は?」「ユージ、50万あげるって言ったけど、50万円あげるって言ってない」「じゃあ、単位は何なの?」「単位は『分』」「分?」勇人は、拍子抜けしたような声を出した。

「1年間は365日。1日24時間。1時間は60分。全部かけ算をすると……」ユージの胸のタブレットに数字が表示され、勇人がそれを読み上げた。「525600」

「そう。人間は1年生きると、みんな平等に50万分をもらっている。時間は貯められないから、その都度使い切っていくしかない。そして、その使い方は、消費や浪費、そして投資に分類できる。どれも生きていく上で必要な要素ではあるけれども、バランスを考えずに、今の自分の欲求を優先させると、消費と浪費ですべて費やしてしまう。でもそれでは将来得られるものが無くなってしまう。だから、『投資』の時間をしっかり持つことが大事」「なるほどね…」

「で、問題はその先。『投資が大事だ』とわかったときに、だからどうすると考えるか……」「わかってるよユージ。要は、勉強しろってことだろ。勉強しないと将来困るって言いたいんでしょ」ユージは、音を立てながら首を横に振った。「そうは言っていない。投資をしないと、将来得られるものが無くなってしまうって言った。勉強しないと将来困るとは言ってない」「間違えてるの?」「そう。だって『勉強』=『投資』って誰が決めたの?」「え?勉強は投資にならないの?」勇人は驚いて目を見開いた。

「考えてみて。世の中のほとんどの人が小中高と十二年間も朝から夕方まで学校に通って『勉強』するんだよ。勉強している時間がすべて投資になるんだったら、ほとんどの人が、将来手にするものが素晴らしいものになってもおかしくないね。でも、みんな同じ時間だけ『勉強』したにもかかわらず、将来手にするものがまったく違う。つまり勉強をしていたその時間が、浪費になっていた人もいれば、投資になっていた人もいるということ。だから同じ勉強をするなら、『投資』になるようなやり方をした方がいい」

「どんなやり方をしたら、投資したことになるの?」「それはもう知ってるはず」ユージにそう言われて、勇人は遠くを見るようにして考えを巡らせた。「あ!」「思い出した?」

「必要最低限を超えるってこと?」ユージはうなずいた。「勇人、これからも勉強する。その時間は浪費にも投資にもなる。どうせやるなら時間を無駄に使うのはもったいない。そっちの方が損。勉強だけじゃない。何をやろうとするときも必要最低限を超えようとした時間だけが投資になる。つまり将来の財産になるってこと、忘れちゃだめ」

(引用ココまで)---

どう?皆さんの勉強は、投資になっていますか?消費ならまだいいですが、浪費になっていたりして。ちょっと考えてみてください。そして勉強でもスポーツでも音楽でも「必要最低限を超えた」ところにある「楽しさ」に早く気づいてくださいね。
保護者の皆さん、この本、本当に読んでいただきたいと思いました。父親の愛・母親の愛がいっぱい詰まっています。ユージは「勇人にアイを教えるために生まれてきた」とよく言うのです。この「アイ」の意味を知ったとき、泣きますよ! 喜多川さんの人間愛を感じます。

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