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心の天秤

心の天秤

111号(2017年3月6日発行)

(喜多川泰「秘密結社Ladybirdとぼくの6日間」から)

颯汰(そうた)は高校3年生、大学を受験するつもりで、夏休みは塾の夏期講習に参加した。でも実際のところ塾にも行かず、家でぐうたらしているばかり。その日も1分たりとも勉強はしていない。これではいけないと思いながら、また今日も終わっていく。

そんな夏休み、あることがきっかけでとんでもない1週間を過ごすことになります。そして颯汰はいろいろな出会いから、人生を学びます。颯汰が出会ったある中3生の卒業文集の作文をまず紹介します。

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「ふさわしい人」  三年五組 二階堂肇

僕は、正月になると神社で毎年お願いしていることがある。それは、「僕は努力をする。だから、それにふさわしいものを与えてください」という言葉だ。

それ以上でも嫌だ。それ以下でも嫌だ。

自分の努力にふさわしいものが、自分の将来に手に入るそんな生き方をしたい。そして、それが与えられることを信じている。だから、僕はどこまでも、どこまでも頑張る人でいたい。

僕は、自分のやってきたことにふさわしい人になりたい。

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普通、受験生は、自分の努力は棚に上げて結果を求めます。何かの間違いでもいいから受からないかなとか、奇跡が起こって合格できないかなと考えるものです。自分のやってきた努力に見合った結果を与えてくださいなんて念じる人はいません。そんなことしたら不合格になるのは自分自身が一番よく分かっています。

でも、二階堂肇は本気でそれを願っていました。自分がした努力以下の結果しか手に入らないのを嫌うのと同じように、努力以上の結果が手に入るのを嫌っていたのです。長い目で見て、それは自分の将来にマイナスでしかないと彼は分かっていました。

「心の中にいつも天秤を用意しておいて、片方の皿に、志望校合格とか、自分の手に入れたいものを置く。そうして、反対側の皿の上に、努力を積み重ねていく。そうすると、そのふたつが釣り合うときがやってくる。そのとき初めて自分の手に入れたいものが手に入る。」

ほとんどの中高生が、この天秤を用意していないから別のことを期待してしまいます。つまり、片方の皿に置いた手に入れたいものよりも、ずっと小さい努力しか反対の皿に乗せていないのに、これで何とか、手に入らないかなぁって期待してしまうのです。あなたもそんな生き方をしていませんか?

そんな学びを得た颯汰は、中学生の時いつも県の水泳大会で負けていた風太と出会い久しぶりにレースをします。万年2位の颯汰は、高校では水泳部には入っていなかったのです。

風太「全然体力がないのに、よく勝負しろって言うよ。でも、最初の25mは速かったな。正直焦った」

颯汰「まあ、お前に対する礼儀だ。俺、中学のときレースで本気出したことなかったから。まあ、本気出したら勝てたって意味じゃないぜ。そうじゃなく、本気を出しても負けたんだけど、それでも、本気を出さなかったのはお前に対して失礼だったと思ってな。だから、今日のは本気だった……本気でやって、負けた。それを言いたかった」

風太「そうだな。お前いつも本気じゃなかったような気がするよ。だから、俺はレースでお前を見ると、いつも恐かった」

颯汰「恐い?」

風太「ああ。お前はどう見てもセンスの塊みたいな奴だ。俺とは違う。俺は努力で少しずつ成長してあそこまで行った。俺はお前の泳ぎを見ていつも羨ましいと思っていたんだ。俺にあんなセンスがあったら、県だけじゃない。全国でだって勝てるんじゃないかって。だから、レースで会うたびに、お前が本気で練習を積んできてたらどうしよう。今度こそは、『打倒俺』に燃えてきたんじゃないかって、思ってスタート台に立ってたのさ」

颯汰「いらぬ心配だな。そんな根性なかったよ。つらいことから逃げるの専門だもん俺」

風太「それが言える奴は強いよ。みんなそれをごまかして生きてるからな」

颯汰「初めて言った。今までごまかして生きてきたからな。でも、もうやめるわ。逃げるの。だって、かっこわるいもん。負けてもいいから本気でやろうと思う」

目の前のことに、全力で取り組むこと、それ以外に自分の人生を切り拓く方法はないように思いました。でも、そんな生き方は、大人でも難しいものです。逃げることもあるでしょう。

でも、いつもいつも逃げるのではなく、全力でぶちあたる、そういう日々が自分を成長させることを、皆さんにも知ってほしいと私は強く思っています。保護者の皆さんや中学生にはぜひ読んでほしい一冊でした。

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