ひびのおしえ

第102号(2015年5月15日発行)

fukuzawa

「学問のすすめ」で有名な福沢諭吉が書いた「ひびのおしえ」を紹介します。これは明治4年に福沢諭吉が息子の一太郎(8歳)と捨次郎(6歳)のために、半紙四つ折りの帳面を用意して、毎日一つずつ書いて与えたものです。

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10月14日 本を読む

本を読んで、はじめの方を忘れてしまうことは、底のない桶(おけ)に、水をくみ入れるようなものです。くむばかりで、少しも水が桶にたまりません。ですから、一太郎さんも捨次郎さんも、読んだ本のおさらいもしないで、はじめの方を忘れてしまった時には、読んだという苦労があるばかりで、学問が自分のためになるということはありませんから、気をつけなければいけません。

10月15日 ひどいことをしない

人は、虫を殺したり、獣(けもの)を苦しめたりなど、このようなひどいことを、してはいけません。このようなことをすると、いつかは、同じ人間に対しても、やさしさの心を失って、ひどいことをするようになるものです。慎(つつし)まなければいけません。

10月16日 子どもの独立

子どもといっても、いつまでも子どものままでいてはいけません。やがて成長して、一人前の大人になるのですから、小さい時から、なるたけ人の世話にならないように、自分で歯を磨き、顔を洗い、衣服も一人で着ること、くつ下も一人ではくように、そのほかすべて、自分でできることは、自分でするようにするのがよいのです。これを西洋の言葉で、インディペンデントといいます。インディペンデントとは、独立ということです。独立とは、独り立ちして、他人の世話にならないということです。

10月17日 人の心の違い

人の心が違うことは、人の顔がそれぞれ違うのと同じです。人の心は、誰も同じではありません。人には、丸い顔もあれば、長い顔もあります。その心もまた、それぞれの生まれつきで同じではありません。気の短かい人もいますし、気の長い人もいます。静かな人もいます。騒がしい人もいます。ですから、人の行うことを見て、必ずしも自分の気に入らないからといって、短気をおこしたり、怒ったりしてはいけません。できるだけ我慢をして、お互いに仲良くすることがよいのです。

10月18日 心の障害

目が見えない人や、耳の聞こえない人は、障害のある人です。一太郎さんも捨次郎さんも、生まれつき障害がなくて、幸せなことなのです。しかし、障害というのは、目や耳ばかりではありません。人の心にも障害はあるのです。たとえば、正しい道理を聞いてわからない人のことです。そんな人は、耳の聞こえない人にもおとる人なのです。また、本を見てその文が読めない人は、目の見えない人よりも、とるに足りない人なのです。ですから、目が見えなかったり、耳が聞こえなかったりすることの障害は、恥ずかしいことではないのです。このような心の障害を持つ人こそ、本当に、恥ずかしいことなのです。
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どうでしょうか。今の時代でも十分納得ができる教えばかりです。これを毎日半紙に書いて、子どもに渡し読ませたというのです。福沢諭吉の子どもへの愛情を感じます。この「ひびのおしえ」を授業を通じて、これからも紹介して味わっていこうと思っています。楽しみにしておいてください。

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